Stephen King - On Writing

2025年7月04日

Shining」や「IT」などの作品で有名なスティーブン・キングさんの書いた”On Writing”は、大きく3つのテーマに分かれています。

まず1つ目は彼の幼少期のエピソードや、作家を志すようになるまでの過程です。子どもの頃からキングが文章を書くことに親しんでいることが数々のエピソードが語られています。キングは本当に心の底から書くことが好きなのだなと感じさせられます。そして、青年となったキングは、作家としてのキャリアを模索しますが、生活のために昼間は働きながら執筆活動を続けるという日々の生活は楽なものではありませんでした。ようやく出版契約を得て、物事がうまく周りはじめてきた矢先、彼の母親の死にも直面し、さらにはアルコール中毒、ドラッグ依存などといった問題も抱えることになります。この部分については深くは掘り下げられてはいませんが、彼を支える妻Tabbyの存在もあり、どのように執筆を続けてきたかについて焦点が当てられていまます。

2つ目のテーマは文章作法についてです。キングの文章は非常に簡潔で読みやすいのですが、それは決して無意識にできていることではなく、緻密に作り上げられたディシプリンやテクニックの積み上げの結果生まれているものです。この本では、基本的な文章作法はもちろん、日々の仕事のルーティン、推敲の方法といったものまで、執筆を仕事として成立させるための具体的な方法を詳らかに語ってくれています。

最後のテーマは作家になるためにはどうすればよいのかの具体的アドバイスです。無名の作家志望の人間がどのようにチャンスを掴み取るのか、そのためにどんな心構えと行動が必要なのかといった点も、非常に具体的なアドバイスとして書かれています。

私自身は作家になりたいと思ったことはありませんが、こういったプロの視点からみた執筆の裏側や方法論に触れることで、仕事への向き合い方について色々な発見がありました。他の仕事においても仕事のディシプリンを確立すること、チャンスを掴み取るためにただがむしゃらに努力するだけではなく、自分の理想を実現するためには、一歩離れたところから何をするべきなのかを考えて工夫をすることが非常に大事だと感じました。