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魔術はささやく
久しぶりに読む宮部みゆきのミステリー。1989年に「日本推理サスペンス大賞」を受賞した作品で、かなり初期のものだ。

この作品は非常にテンポがいい。読み始めてすぐに一気に読み切ってしまいそうな気がして、その通り、最後まで一気に読んでしまった。

3人の若い女性が次々に自殺、事故死を遂げる。ある座談会に出ていた3人であるから、そこにいたもう一人の命に危険が及ぶという展開になる。主人公は少年。3人目の犠牲者を事故で亡くならせてしまったタクシードライバーの養子という立場で、この事件に巻き込まれて行く。

この主人公を筆者はうまく作り出している。彼の境遇、それを逆手に取った未来への一歩、そして彼と鍵師の老人とのエピソードと、どれも暖かく見守っている目線で描かれている。

この事件の「犯人」も、彼の論理で動いている。「魔術師」と書かれるように人間の行動を操ってしまう気持ち悪さがあるものの一人の人間だ。

事件のトリックは今一つな感じもするけれど、登場人物の魅力がその分十分取り返してくれる。宮部みゆきらしさあふれる作品だ。

(2009/03/15)



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