雨 
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サマセット・モームの短編。

話のあらすじは、南太平洋のある島で足止めを食らった宣教師が、その滞在中に居合わせた娼婦を教化しようと試みるが、最終的にはうまくいかないという話。

実はとてもシニカルな話である。この女を矯正しようとしている宣教師は、結局は女に敗れてしまうというオチなのだが、それ以外にももともとポリネシアの島に住む人々の風俗を、キリスト教的価値観で無理に変えてしまおうとすることに対する批判が忍ばされている。この物語に登場する医師は、この様子を批判的に眺め、ちくちくとそれを指摘しているのだが、これがモームの態度を代弁している。頼まれてもいないのにやってくる宣教師は、余計なおせっかいをしているに過ぎないという批判が見て取れる。価値観の押し付けは良いこととは限らない。

そういったテーマ以外にもこの物語は読みどころがある。人物が初めて登場する時の描写はとても緻密で、観察眼が鋭い。また、この物語の舞台を作り出す「雨」の描写も素敵だ。雨と聞くと、しとしと降る雨を思いおこさせるが、ここで降る雨は激しい雨である。激しい雨の表現というのもまた新鮮である。

これは日本語で読んだが、モームはイギリス人作家であり、英語で読むのも良いかもしれない。ちらっと見たところ、簡単に読めそうな印象を受けたので、今度読んでみたいと思う。

2度読んでみると、ディーテールまで読み取れて大変面白かった。

短編なのですぐ読めるし、面白いのでお勧め作品の1つに入れたい。 (2004/08/23)

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