貧しき人びと 
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ドストエフスキー著 木村 浩訳 新潮文庫

若きウェルテルの悩み」と同時に購入したのが「貧しき人びと」である。ロシア文学の大家、ドストエフスキーは「罪と罰」や「カラマーゾフの兄弟」が代表的だが、この作品は処女作にあたる。

小説の形式は、マカールという男と、ワルワーラ(ワーレンカ)という貧しく若い女の往復書簡である。それもかなりの量の手紙が行き交う。題名から推測できる通り、2人とも世の中であまりうまく立ち回っている方ではなく、苦渋をなめされられている。

当時と現代では「貧しさ」が違うらしい。現代の日本では大部分の貧しさというのは「贅沢があまりできない」という程度のことであり、優雅な生活はできないけれども、質素になら幸せに生きていくことはできそうだ。しかし、当時の貧しさは、生死に関わることで、貧しいことは死に近いということである。貧しさは苦しさに通じるからこそ、置かれた境遇に対しての訴えに切実さを感じる。ロシアが寒いから貧しさに一層痛みを感じるのかもしれない。

手紙であるからか、文章は短く、一方的に語りかけてくるような感じである。だから情景の描写に絵画的なものはない。語りかけるというよりは、訴えかけてくるといった方が正しいかもしれない。翻訳された文章であるし、元の作品は古く19世紀中ごろの作品であること、そして娯楽作品ではないこともあってか、現代の小説とは随分と雰囲気が違うし、読みにくく分かりにくい。

この作品の中で、2つほど波に乗って読める部分があった。ワルワーラが自分の生い立ちを語る部分はストレートにその気持ちを察することができたし、マカールが一転して幸せを見出すシーンもこの作品に数少ない晴れた気持ちにさせてくれる部分である。

しかしなんとも難しいなというのが読んだ率直な感想である。

2003/08/10

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