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読書について
ショウペンハウエル(著) 齋藤忍随(訳)
岩波文庫 青 632-2
460円

自分の中で読書がブームになっている。そこで書店で見かけた「読書について」を購入した。

買った文庫本には、「思索」と「読書について」そして、「著作と文体」の3篇が収録されている。

「思索」と「読書について」はいずれも25ページほどの短いものである。この2つは言っていることはほぼ同じで、読書にまつわる箴言集という感じがした。読書とはいってもどちらかというと、娯楽ではなく思想に関する書物を読むことを言っている。あまり本を読みすぎると、自分で考えることができなくなってしまうから本は読みすぎるなとか、限りのある大切な時間を低俗な本を読むことに使うなといった具合である。
逆に本を読むことは燃料補給みたいなもので、考えるエネルギーを補給するようなものだと言っている(ように思える)。短い中に鋭く示唆的なコメントがたくさん並んでいて大変面白かった。

ここで言われていることは他のことにも当てはまる。他人の研究論文ばかり読んで、自分の研究ができない研究者もいるし、そもそも「批評家」なんていう職業もあるぐらいだ。

字面通り読むと、「あんまり本は読むな、考えろ」という表現になると思うのだが、これは極端な表現だし、本を読む(研究をする)人々に向けられたものであろう。僕のように全然本を読まなかった人間は、まずは考えることができるようになるための礎をまずは作らなければならない。

この著作に書かれていたことにもろ手を上げて賛成するわけではないのだが、1つ共鳴する部分があったので書いておこうと思う。本を読むということは、他人の思考をなぞる行為であり、本を読んでいるだけでは身についたものではない。自分が考えることによって生まれてくる考えこそに価値があるのだという部分がそれだ。

ショウペンハウエルが引用しているゲーテの言葉は印象的だ。

 「汝の父祖の遺せしものを、おのれのものとすべく、自ら獲得せよ」

簡潔にまとまった読み物なので、ほんの10分ほどで読めるので当然他人にも勧めるが、彼の態度が気に食わないところもあるかもしれない。古典至上主義的なところ、悪貨は良貨を駆逐する的発言などは少々どうかなとは思う。まあ、皮肉で言っているんだろうが。

「著作と文体」は前述の2編に比べ長い読み物となっているが、受ける印象は薄い。というのも、この内容は大きくドイツ語に依存するものだからだろう。ドイツではドイツ語を単純化する運動があったようで、それに対し例を挙げてそれが間違っていることを述べているが、ドイツ語の知識がない者にとっては対岸の火事である。

「著作と文体」は読まなくても良いと思うが、残りの2編は久々に大ヒットであったと思う。

(2003/06/07)

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