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老人と海
老人と海の原題はそのまま「The old man and the sea」で、1952年に出版され、1954年のノーベル文学賞の受賞に大きく寄与した。

私個人にとっては中学1年生の時の読書感想文の最初の1,2冊目だったかで読んだ記憶のある思い出深い作品だ。20年ほど経って、改めて読んでみると感じ方が違っだ。

まず、作品の力強さに驚く。簡潔な文章は日本語でも好感をもてるのだが、英語でも短い文章の積み重ねの威力を感じた。そして、その文章は事実を客観的に感情を入れずに書いていることで、これぞハードボイルドと感じさせる文章であった。

昔読んだとき、そしてあらすじを話として聞いたときには、決死の覚悟で戦って釣り上げたメカジキを寄港の途中にサメに全部食べられてしまう無常観を強調されていたように思うのだが、今回読んだときにはそれを感じなかった。

というのも、老人はメカジキから流れ出る血でサメが襲い掛かってくることは充分に分かっていたし、それに1度目に食われてからは、再三襲われることも分かっていた。そこでも彼は諦めることなく、考え付く限りの抵抗を試みる。これが漁師としての彼の意気込みであり、男としての凄みを感じさせた。メカジキが食われて骨だけになってしまったことよりも、彼が最後まで戦ったことに、この帰港への記述の意味がある。

「老人と海」は政治家などの愛読書としてよく挙げられている。短く、力強い作品で読んでおくべき1冊であるが、私にとってのお気に入りの1冊にはならなった。それが孤独との戦いだからか、そういった戦いに価値を感じないかは自分でもはっきりわからないのだが、共感が少なかったことが原因だと思う。


(2006/10/4)

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