組織の盛衰
組織の盛衰 何が企業の命運を決めるのか
「日本人への警告」に続いて堺屋太一の本を読むのは2冊目である。 この「組織の盛衰」は1993年に出版されたものの文庫化である。
題目通り組織を中心に、現在の日本を取り巻く状況にどのような問題があるのかを述べている。「日本人への警告」にも共通する主張が繰り広げられているし、納得も出来る論である。
少々気になったのは、歴史的な出来事を例に、その組織の問題点を述べている点である。確かに歴史から学ぶことは間違ってはいないように思うのだが、豊臣秀吉や織田信長が作り上げた政治・軍事システムを現代の企業に当てはめるのはいささか一般化しすぎの感がある。織田信長がこう行動した、というものを当てはめようと思えば何とでもなるような気がしてしまう。
現在の日本企業の問題と、それに類似する歴史的な事実を列挙しながらこの本は進んでいく。問題点を指摘するだけで、それを改善する提案は無いのかと思いながら読んでいるとちゃんと最後には今後への提案を示している。
書かれていることに文句はないのだが、問題はそれが心に響かないことである。堺屋氏は彼の役割を果たしているのだが、これを読んで行動する人々が現れなければ世の中は変わっていきそうにない。人びとを突き動かす強いメッセージに欠けるのが残念に思う。
部分的にではあるが面白い部分があった。知価革命の件である。戦後の日本の中心となった機械・電機に対して、ソフトウェアの産業がその市場を拡大している。それらの新しい産業を発展させるのに適した組織は今までの日本型大企業とは違うということをはっきりと指摘している。これに関連する記述は共感できた。
組織の盛衰 何が企業の命運を決めるのか PHP文庫 562円
読書感想文に戻る2003/08/30
