秘密
白夜行が良かったので読んでみようと思って前回の帰国時に買っておいた東野圭吾の作品。前回から約半年ぶりに読むことになる。
話はかなり早いペースで始まる。娘と妻がスキーバス転落事故に遭うのだが、そこに至る構成は簡潔で舞台のセットアップをテキパキと進めてゆくようだ。物語のテンポが良いので、すぐに話の世界に引きずりこまれていく。
東野圭吾の作品は2つめだが、共通する良いところは、読んでいると必ずいくつか気になることがあり、それがどうなるのだろうという好奇心が読者を放さないところだろう。お陰で気がつくと集中して読み進むことが多い。結局残りも眠い眼をこすりつつ一気に読み終えてしまった。
バスの事故で妻を亡くし、娘は奇跡的に助かる。しかし、その娘の人格は妻であって娘ではないというのがこの話の主題である。不思議な現実を受け入れる主人公であり、娘の身体を持つ妻なのであるが、段々娘が成長していくことで直面する問題が出てくる。
さまざまな葛藤は読んでいるうちに予想されるものだが、その展開は実にうまい。そして、その葛藤を乗り越えて、彼らは未来を生きていかなければいけないのだが、僕にはどのようにこの問題を乗り越えていくのか予想ができなかった。
物語は右に左に大きくその方向を変えながら進んでいくが、最後はこれ以上の結末は考えられないと思える綺麗な終わり方をする。一般にセンセーショナルなストーリーを求めがちな現代ではあるが、それらに見られる後味の悪さとは反対に、この作品はせつなく思わせるものの、清々しさのある後味だった。
「白夜行」も良かったが「秘密」はそれを上回る出来である。もちろんおすすめとしたい。
(2003/05/10)
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