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砂の器
松本清張作品を読むのは中学の課題図書の「点と線」以来。推理小説の巨匠であり、友人にも松本清張ファンがいたり、1つ突き抜けた存在だ。松本清張の作品はテレビでドラマ化されることもあり、「黒革の手帳」はテレビでみた。この「砂の器」もドラマ化されていたが、こちらは見ていなかったこともあり、先入観を持たずに読む事が出来た。

作品の展開は遅めで、ぎっしり中身が詰まった重たいパンのよう。1ページ1ページ噛みしめて、いや、踏みしめて進んで行く感じだ。作品の構成は推理小説の定石通り、事件が起き、刑事が現れ、そして謎解き、種明かしと進む。

刑事の捜査は着実に進んで行くものの、どこで解決に至るのか道のりがなかなか見えない。難解な事件である。そして犯人の側の行動もところどころ記述されているのだが、そうとう最後の方になるまで犯人が誰か核心を持てないので、ついつい一気に読み進めてしまう。

中身が濃く、謎のしかけも巧妙なので、読んでいる間の満足感はとても高かったけれど、最後の最後で作品は急展開し、解決、事件の真相はこうだという解説に入る。ここが少々唐突で、いきなり終わってしまう感があった。犯人を追いつめて降参させる、ある意味、推理小説で面白い部分が十分に生かされていなかったのが残念だった。

作品は昭和35年から読売新聞に連載されており、かなり古い作品である。しかしながらその古さをほとんど感じさせないのが秀逸である。無論、作品の背景に当たる部分はその当時の世相を反映しているものもあるのだが、それを除けば現代に発表されていたとしても脚光を浴びる作品になっていることだろう。

(2008/08/18)
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