知性について
知性について、何かすばらしい知見が得られたとは思えないけれど、読んでいて面白かったことは確か。ショウペンハウエル節が炸裂している度合いで言えば、「読書について」の比ではない。
「生存中に同時代の人々の感謝を受けたいと思う人は、その時代とおなじ歩調であゆまなくてはならない。ところが、そうすれば、決して偉大な仕事はできない。」
彼の主張はストレートで、当時の世の中に対する諦めが強く感じられる。日々の生活に追われ、深い思索を行わない一般大衆を愚として軽蔑し、ごくひと掴みの者だけを良しとしている。そして、多くの一般大衆を救おうとか、導こうとかといった意気込みが感じられず、その人たちについては諦めてしまっている感じだ。
逆にゲーテやカントをはじめ、諸手を挙げて賞賛しているものもいくつかあるのも面白い。どちらも再三再四引用されていて、彼の傾倒ぶりが良く分かる。
ショウペンハウエルは、比喩がうまい。
「生命は周知のように一種の燃焼過程であるが、それにさいして発する光が、すなわち知性なのである。」
また、洞察力もありそうだ。同じものをずっとみていると、段々感覚が麻痺してきて、何も感じなくなってしまうのと同様、同じことを考えすぎると、新たな発見がうまれなくなるのだという。リフレッシュした後に戻ってくれば、壁を打ち破ることができる、なんてことも書いている。
そして、引用も絶妙だ。
「リーマーがゲーテに関する著書の中で、独創的な思想はほとんどいつでも、歩いているときか立っているときに訪れるもので、坐っているときに訪れることはきわめて稀であると言っているが、これは至言である。」
哲学書として読むと物足りないと思うのだが、楽しめる一冊である。
(2006/08/23)