白仏
たぶん本屋たまたま目に止まったので買ったのだと思うけれど、辻仁成を見直す出来の作品だった。
九州の大野島を舞台に、鉄砲屋として知られた稔の一生を描く。そしてそのテーマは、さまざまな死だ。
子供の頃に兄が亡くなった体験。憧れた年上の女性が嫁いだのち急に亡くなる体験。戦争で殺すか殺されるかという場面での体験。など、身ぢかな様々な死を経験しながら稔は生きてゆく。
これは作者の祖父が晩年に島の祖先の骨で作った白い仏像を作るにいたった経緯を元にかかれた作品で、以前読んだ辻仁成の作品とは大きくスタイルが違っていて、落ち着いていて重みがあり良かった。
文章は簡潔かつ分かりやすい。過剰な装飾もない。
良い一冊。
(2008/04/16)