理由
「理由」(りゆう) 宮部みゆき 朝日文庫
宮部みゆきの作品を読んでみたいという話をしていたら友人が貸してくれた本が「理由」である。「レベル7」と同様かなりのボリュームのある作品だった。
立て続けに推理小説を読んできたこともあって、少々食傷気味ではあったが、興味は持続し一気に読めた。しかし、読んだ順番が悪かったのか、それほど感激するほどではなかった。
この小説は僕が初めて対面する、ルポルタージュ形式で書かれている。手法は面白いなと思った。事件に関わる人間に順に筆者がジャーナリストとしてインタビューをしていく。そんなわけで、この小説は事件の謎解きを楽しむというより、事件に絡む人たちの人間模様のオムニバスを楽しむというものだと思った。
各章は、それぞれのインタビューに当てられ、順に犯人の可能性を消していく。事件の全貌は徐々に明らかになっていくが、それよりも1つのマンションという場所を通じて、色々な人生があるのだなと感じさせられる。人物の描き方もしっかりしていて、似通った人間だらけという感じもしなかったが、強烈な印象を残すまでには至らなかった。
しかし、この作品が連載だったら、随分楽しめて読めただろう。章と章のつながりは、次の章を呼び出すために必要な程度だし、最初の事件背景のあらましさえあれば、章を単独で読んで楽しめると思う。僕は一気に読んでしまったが、読むのならちょっとずつちょっとずつ読むことをおすすめする。
(2003/06/07)
