以前「
木」を読み、とてもよかったので幸田文の小説を読んでみることにした。タイトルを見て面白そうだと思った「流れる」を読んだ。
それほど量のある本ではないのに、この本を読むのに1ヶ月以上かかってしまった。なかなか波に乗れなかったからだ。題材は凋落気味の芸者小屋を観察する住み込みのお手伝いさんの話なのだが、多分そこにあまり興味をもてなかったというのが第一の原因だろう。
最初の方でたくさんの芸者の登場人物が登場し、そこで誰が誰だか分からない状態になってしまう。そして、それぞれの人物について、それほど深く話がされるわけでもなく、同時進行で話が進んでしまうだめ、それぞれの人物像がはっきりと創り出すことができず、字を眼で追うだけの展開になってしまった。
それに主人公のお手伝いさんの梨花自体が何か主体的に動き回ることもなく、観察者というか傍観者となっているのも興味を惹かなかった理由か。
幸田文の文章が映えるのは彼女の感じたことが直接書かれているときのようで、梨花の眼から見た芸者衆の様子を描くと、彼女の繊細な感覚がどうも現れてこないように思えた。小説よりもエッセイで輝く作家なのかなと思う。幸田文を読むならやはり「
木」を薦めたい。
2002/12/10