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東京タワー(リリーフランキー)
外国生活のためもあって、ベストセラーには疎いが、この本が売れたことは知っていた。もちろん流行った当時に買ったりはしなかったが、読み終わった本を譲っていただいたので読んでみた。

リリーフランキーという人をよくはしらないのだが、コラムを書いたりイラストを書いている人らしい。この作品は、この筆者の家族を描いた話で、九州で子供時代を過ごし、やがて東京に出てきて、そして、最後に母を闘病生活の上亡くすまでの、オカン、そして人生の色々な局面にだけ登場するオトンのお話である。

誰の闘病生活の記録も心が痛くなる。そしてその中に人間の善なる部分が見える。ここが広くこの作品が受け入れられたところだと思う。

でも実はもっと気になったのは、主人公が高校入学と共に一人暮らしを始め、そして大学生で上京し、仕事が軌道に乗るまでの堕落そして苦難の生活であった。

小学生の頃は普通の少年であったように見えるし、母はどっしり構えていて、人間として立派な人のように思える。しかし、主人公は高校入学と共に学校を休みがちになり、美大に入ったものの、やはり身が入らず留年してしまう。そんな主人公をいつも節目節目で支えてくれる母の期待を裏切ることに罪悪感を感じるものの、その後またすぐに堕ちていってしまうのはなぜなのだろう。この主人公に映る東京は、人間の汚い部分ばかりのみえる本当に酷いところなのだが、東京が悪いのではないのではと反問してしまう。幸いにしてこの主人公は、自分の才能で堕ちるところまで堕ちたところから這い上がるのだが、この様なところから這い上がれたのは例外のように見える。むしろ、どうしたら堕ちる前にそれに気づくかだ。しかし、この答えは今のところ見えない。

文章の表現がうまいと思われる部分が冒頭や、その他ところどころに見られるけれど、全体としては筆者の心のまま書いたようで、とりたてて文章がどうのということはないと思う。

早いペースで展開が気になりながら一気読める一冊。もちろん、東京タワー(江國香織)よりこちらの方がよいのは言うまでもない。
(2007/03/28)

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