斜陽 
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戦争直後を舞台に3人の人物が描かれる。儚い命の母、戦地より戻った弟直治、そしてその2人を見守るかず子。そのどれもが滅んでゆく。ひさびさにこれぞ文学だと思わせる文章でした。どの人物も読者に語りかけてくるような感覚があるのが特徴でした。かず子が弟のノートを盗み見する場面があるのですが、その部分が始まると、すぐにこの作品が直治が読者に語りかけてくるように見えるのです。

本文中にも触れられているが、チェーホフの桜の園が太宰治の頭の中にあったことが良くわかる。滅ぶことに対して直接的な悲しみや、悲観というもので語られているのではなくて、淡々としたものを感じさせる。滅びの美しさではないけれど、滅んで行くものとはこういうものなのだとあらためて確認しているような感覚です。

主人公たちはみな太宰治のある一面を投影しているのだろう。弟しかり主人公しかり、そして退廃的な生活をしている作家として登場する上原にしてもそう。かず子は革命!などと良い大げさすぎる感じはするけれど。

退廃的、デカダンスというのが、作品の後半には強まってくる。そして「人間失格」と同じく太宰治の自殺が想像できる。

久々の名作。これは読んで損はない。 (2007/07/21)

「斜陽」太宰治 新潮文庫 324円

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