心に太陽を持て 
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山本有三

路傍の石以来のような気がするが、これは子供向けの短編集である。子供向けなので、灰谷健次郎と比較してしまうが、大きく印象が異なる。

この作品は、妙に教訓めいた話が多い。子供に聞かせたい「いい話」を大人から子供に贈る形になっているため、どうも押し付けがましい印象を受けた。確かに、「くちびるに歌を持て」や「パナマ運河物語」などは素晴らしい話なのだが、「これは素晴らしい話ですよ」といって聞かされると反発心を起こすものだと思う。大人になった私がそう思うのだから、子供だったらなおさらなのではないだろうか。それとも素直に受け入れるのだろうか。

これに対し、灰谷健次郎作品は、子供の社会を題材にしているものの、実は子供に対して教訓を伝えようという意図があらわになっているわけではなく、むしろ子供の社会を素直に描くことで、読み手が自分で何かを感じるのではないかと思った。

そんなわけで、読んだ後味の微妙な本であったが、読む価値は大いにあった。というのも、へえと感心するエピソードにいくつも出会うことができたからだ。特に「フリードリヒ大王と風車小屋」はポツダムにあるサンスーシ宮殿にまつわる話であったが、ちょうどこの本を読んだひと月後にポツダムのその場に行く機会があったので、その場の感慨もひとしおであった。

「くちびるに歌を持て」はさらに自分にとって糧になる話。この数ページを読むためだけにこの本を読んだっていいと思う。

2006年6月

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