幸田文の箪笥の引き出し
幸田文の娘、青木玉(本名は玉子さん)が、母のエピソードを着物に絡めてつづるエッセイ集。着物になじみがなくなってきた現代人には粋なエピソードが満載だった。
幸田文の素敵さは歳を重ねてきた老年期に特に輝きを放っている。着物ひとつへのこだわり、他人への思いやりなど、印象に残るものが多い。「にび色」など派手ではなく、一見どんより汚れたような色に見えるものを着こなすなんて一筋縄でいくものではない。
青木玉の文章の軽やかさも、母の幸田文に通じるものがあり、読み心地が良い。これは遺伝なのか、それとも育てられ方なのか。いずれにせよ親子だなぁと感じさせられた。
(2007/01/29)