山椒魚
山椒魚 井伏鱒二
表題は教科書にも載っている有名な短編作品。読むのもきっと三度、四度だろう。印象に残る短編でもあるけれど、今回はぜひ同じ単行本に収録されていた作品について書き残しておきたい。
この短編集には11編ほど収録されていた。もちろん、「山椒魚」を久しぶりに読んでみようと買ったのだけれど、そのほかの短編を読み進めていくうち、どんどん吸い込まれていった。これは面白い。それを感じたのが後半にある「女人来訪」だ。
ほかの作家にあるような摩訶不思議感があるわけではない。実際にありそうな、なさそうなそんなシチュエーションに情景がセットされ、まるでそこで自分で見ているような感じだ。
「屋根の上のサワン」、「大空の鷲」も良かった。何かメッセージがあるわけでもないのだろうけれど、風景や鳥たちの描写が実に詩的、絵的で美しい。山椒魚と違って動物は動物なのだけれど、何か人格じみたものが感じられる。
もう1つの代表作である「黒い雨」より、こちらの小品集の方がとっつきやすいのではないかと思う。個人的に再評価したい。
(2007/01)
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