壁 
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言ってみれば不思議系とでも言えるだろう。安部公房の「壁」の世界は、夢の中のような不思議な世界だ。そして、その世界というのは、「モモ」のグレーのサラリーマンのいる世界や、星新一のショートショートの世界、はたまた漂流教室で学校が飛んでいってしまった先のようでもある。少々滑稽でありながら、ちょっとグロテスクなところもある風景には、オリジナリティーが溢れる。

一方、同じ安部公房の作品である「砂の女」と共通して、砂のイメージがある。この作品で主人公の胸の中にある荒野なんかはまさに同じようだ。

何を訴えているのか、というのがすぐさま覗き見られるようなシニカルさというのがあるわけでもないのだが、何か社会に対して訴えているものがあるに違いない。

さて、この壁に収められている第3部の赤い繭は、その前の2部に対する関連は薄く、別の作品と考えていいと思う。第3部には4つの短編があるのだが、こちらの方が短いだけに、社会を風刺する力を強く感じる。

安部公房のオリジナリティーは特筆すべきレベルである。他の作品もいずれ読んでみようと思う。

(2004/05/14)

「壁」 新潮文庫

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