僕は世界史選択だったこともあって、教科書で「
マキアベリ」とか「君主論」という言葉は知っていたし、覚えたけれど、受験勉強の虚しい面でもあるけれど、それがどんな話なのかは知る由もなかった。本屋で角川文庫のあの簡素でありつつ威厳のある背表紙を見たときになんか買いたくなってしまった。
他の思想家の書物と同様に1ページ読むのに悩んでしまうような難解な文章を想像していたのだけれど、それが意外や意外、実に読みやすい。
もともとマキアベリは思想家というよりは行政官の親分を長く務めた人で政権の交代の後に、新たな支配者に対して、彼の意見を進言するという形で書かれたのが「君主論」である。そのため、その新しい支配者に分かりやすく説明する形でかかれているということが読み易さの理由だと思う。
中身は領地の統治方法、対外政策などで、それぞれ考えられるパターンを列挙したあと、どういう事例が過去にあったのか、どういうことに気をつけるべきかを簡潔な文章で述べていくもの。400年ほど前の社会の統治方法なので、現代にはそぐわない部分が少しあるものの、概ね現代の為政者や企業経営者の取るべき態度、行動についての規範になるものだと思った。
君主たるもの善人であればいいというものではない。時には冷酷な決断をしなければ国や自分の支配を維持することができないというのは、現実的、実践的な考え方だと思う。果たして自分にできるかどうか疑問は残るが。
章立てについても実に明快で、最初に「次の問題には3つのパターンが考えられる」といったように述べた上でそれぞれについて説明していく形式。それと簡潔な文章とあいまって、実に読みやすかった。
2002/08/03