午後の曳航
三島由紀夫っぽくないなと思いながら読んでいたけれど、読み終わってみるとやっぱりそうかと思う作品。あとになってみると分かるのだが、主人公を含む子供のグループが実は主題だとわかる。このグループは、作品中にところどころ出てくるだけなのだけれど、すべてのエピソードが無駄無く組まれている。船乗りの男も、母も、この話を構成するのに必要だから登場する。いつも思うのだが、三島由紀夫の作品はテーマや構成がガッチリ決められてから書かれているように思える。
この子供たちのグループは非現実的な存在で、これを本物っぽく書く必要すらなかったはずだ。このテーマを体現するために作り出された架空の存在だ。
なるほど、こういうのが文学作品というものなのね、と思いながら読んだ一冊だった。
(2009/03/13)