冷静と情熱のあいだ Blu
「冷静と情熱のあいだ」は、2人の作家が男女2人の登場人物それぞれの視点から書いた物語である。女性を主人公とした話を書いたのが江国香織の「冷静と情熱のあいだ Rosso」、そして男性の主人公、順正の視点で書かれたのがこの「冷静と情熱のあいだBlu」である。
大抵の物語は、ある登場人物1人の視点に立ったものか、あるいは視点がめまぐるしく移り変わるもののどちらかである。そんな中、1つの物語を2つの視点から作り上げたところが大変面白い。
辻仁成の本はこれで2つ目。前の本の感想文を書いたような気がするのだが見当たらないので、勘違いだろう。覚えている限り、尻切れトンボな感じがしたもののなかなか良いと思ったというような感想だったはずである。
この作品は前半のイタリアにいる順正の生活の表現はなかなか面白い。村上春樹ほどカッコつけすぎではないのだが、今の人が憧れるようなことを書き、読んでいてリズムがよい。しかし、後半に日本に戻ってきたあたりから、物語が雑になってきたように感じた。
この作品には順正と一方の主人公であるあおいが8年来の約束を信じ、その場所で会おうとするクライマックスがある。そこに向けて話は盛り上がっていくのである。徐々にその盛り上がりが高まる前半は良い。しかし、後半、思い切ってその場所に向かう理由が今ひとつ納得できず盛り上がりを急ぎすぎたきらいがある。
とはいえ、全体としてはまあまあ良い出来だと思う。また作者の作品を読んでみてもいいかなと思う。
この作品と対を成す江国香織の「冷静と情熱のあいだ Rosso」も随分前に読んだが、こちらの方が面白かったように思う。
(2004/03/24)
