人間失格
「人間失格」を読むのは多分3回目。しかも、3回とも新しく買ったような気がする。 強烈なタイトルが読者をひきつけるのか。
「第一の手記」の最初の数ページ読んだところで、読んだことがあることを思い出させる。主人公はまわりに気を使いながら、道化を演じながら子供時代を過ごす。それは成人しても変わらず、主人公の人生の苦悩となっていく。
今まで文章については特に印象に残っていなかったが、太宰治も独特の文体であることが分かった。短いフレーズを積み重ねているのだが、文章自体は長く、句点で短く区切りながら読者に語りかけてくる様子は不思議と読みやすく引き込まれる感覚を持つ。でも、文章自体が綺麗なのかといえばそうでもない。フレーズの切り方は自然なのに、文章自体は長すぎるからだろう。
この主人公は、成長した後も悩みを抱え続け、2度の心中未遂を起こしてしまう。随分なストーリーだと思いつつ、これは太宰治自身をほぼ語っているに近い。そして精神病院に入れられてしまって物語の主人公は壊れてしまう。実際の太宰治は一旦立ち直ったように見えるものの、大衆に喜ばれようと作品を書いたと言っているように思え、そのエネルギーが尽きた頃、この「人間失格」を書き、そのしばらくあとに心中してしまう。この「人間失格」が彼の叫びであることは間違いない。
読み心地は極めて独特。厭世的でありながら、読んでいて嫌悪感を覚えることもない。短い作品であるし、読んで損はないと思う。そして、「走れメロス」などのいわば「大衆に喜ばれようとして書いた作品」と思われるものを、太宰治の人生を頭に置きつつ読んでみたいと思う。
「人間失格」太宰治 (2004/07/25?)
