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ボクの音楽武者修行
「ボクの音楽武者修行」小澤征爾

世界のオザワが世界に出て行ったときの自伝エッセイ、しかし注目すべきはこれが昭和37年、小澤征爾がヨーロッパに渡って2年余り後の27歳の時に書かれたことだ。文章が若いようにも見えるのだけれど、既に大物になっているようにも思える。今の小澤氏が書いていると言ったっておかしくない。

小澤征爾は音楽の本場ヨーロッパを目指す。今よりも留学は難しかったのだろう、彼は貨物船に載せてもらい、そして、富士重工からスクーターを提供してもらいヨーロッパに向かった。初めてのヨーロッパ世界へ果敢にチャレンジしてゆく若者の話は面白いのだが、これならば良くある話といってもいいだろう。小沢征爾はパリについて直後、ブザンソン国際指揮者コンクールに応募する。そしてそのコンクールで1位に。その後も、参加するコンクールでことごとく1位を取り、シャルル・ミンシュ、バーンスタインなどに直接教えを請う事ができた。この本の締めくくりは、ニューヨークフィルの副指揮者として日本に凱旋帰国するのだが、ここまでの出来事がたった2年ちょっとだというのが普通ではない。

才能があったのだろう、努力もしたのだろう、でも夢を現実のものとしたのは、物事が転がり始めるきっかけを作る行動力というエネルギーに満ちあふれていたのだろう。

順風満帆な小澤氏だが、あとがきによれば、その後現在に至るまでには色々な苦労があったようだ。しかし、彼がまたエッセイを書くとすれば、それは苦難という形ではなく、ハイキングで山道を歩いているような表現をするのだと思う。

さっと1日で読める、そしてinsightが得られるという点でこの本も良い1冊でした。

新潮文庫
(2007/08/05)

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