ファウスト
圧倒的な分量に躊躇したものの、えいやと買ってみた。
「悲劇」という表題によって始まるものの、これは悲劇なのだろうか。このファウストの主人公は悪魔のメフィストーフェレスと契約を交わした博士。この設定に聞き覚えはあるものの、話の進行がどうなるのか、この時点では解らない。
読めない展開、そしていかにも古典的・訳文であるから読みにくいだろうなと思っていたものの、それほど読みづらい訳ではなかった。所々は快調にテンポ良く進むところもあるし、中身が解り易いところもある。そして、文章はとても詩的。翻訳も良く、流れるようなリズムを生み出している。
だが、難しいのは、場面展開が唐突でなぜいきなり場面が変わるのか、前後がどうつながるのかさっぱりわからないことが何度もあった。場面場面のつながりがあまりないことも問題だ。これはファウストがゲーテ20代からこの世を去る直前の80代まで60年以上にも渡って書き続けられたものであるせいでもあるのだろう。
シェイクスピア同様に舞台の台本のようにも見えるが、これは実際には劇にするために書かれたわけではなくて、そういう形態を採ったというだけのことらしい。
後半の第2部も話はポンポン飛んでゆく。ある国王にメフィストフェレスは取り入り、ファウストはその国の国民にボーナスを渡したり、美の象徴のヘレーナーを蘇らせ、それを追っていったりするが、ファウストは満足を得ることがない。
最後の最後に、ファウストは人々のために尽くすことをしたいと願う。そして、王からもらった領地でそれを行う。とうとう欲望を満たしたファウストは、メフィストフェレスとの契約通り、魂を悪魔にささげることになるのだが、公共奉仕に満足したファウストを天は認め、天国に連れて行ってしまい、メフィストフェレスはとうとう目的を果たすことができなかった。
最後は急激にキリスト教的な価値観で締めくくられ唐突な感じがする。しかも、そこまであまりにも難解だった展開が、非常に単純な教訓的ストーリーで終わるのは意外だった。
2006/02/09 - 第1部
2006/05/18 - 第2部