サミングアップ 
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サマセット・モーム

“The Summing Up”というタイトルが物語るように、サマセットモームが自分の人生を振り返った回想録で、これが相当に面白い。老いた人間の持つ価値というものをここまで感じさせられる読み物は今まで読んだ事がなかった。

私は小説などを読んでいて文章の書き方が気になる傾向がある。モームの文章は翻訳で読んだものは好きものに入るのだが、それもここで本人が書いている文章論で理由を知る事ができた。彼は分かりやすく簡潔に、そして飾り立てる事を意識的に避けていたのである。それは私がそういう文章が良いと思うものだけに、彼の文章を好きに思えることに納得がいった。

人生論そして信仰について。モームは若い頃医者だったこともあり信仰がない。信仰を否定するわけではないので、日本人の持っている感覚に近そうだ。

批判を畏れないストレートな評は聴いていて気持ちいい。これも老年の為せる技だ。

モームは若くして作家として成功を収めた。そして明確には書かれていないが第一次大戦後、日々の生活から抜け出すために南海の島々への旅に出る。のちに「月と6ペンス」や「雨」につながる旅である。この旅でモームが受けた影響は非常に大きい。そして私の好きな作風はここで生まれて来ている。自然な人間の姿に触れ、それにモームが触発されてその後の作品が生まれてくる。特にこの部分だけでも読む価値は大きかった。オススメの1冊。

(2009/01/26?)

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